PXC 新COO就任記念 特別インタビュー 自らのDX経験を業界内外のDXに波及させるPXC 新COO就任記念 特別インタビュー

PXC=“Sales Promotion DX Company”

PXC Inc. 代表取締役CEO 菅野 健一 Kenichi Sugano

50年間の店頭販促物制作ノウハウをDXし、業界の進化を促す

わたしがPXCの代表取締役社長に就任したのは、前社長とのご縁からでした。継続的に規模を拡大している広告業界の中で、PXCが携わってきた店頭販促物制作分野は、ピーク時から3~4割ほど市場が縮小しています。前社長は、デジタル分野への事業シフトを模索しており、別業界のDXで複数のIPO経験があるわたしがその課題を引き継ぎました。

事業を一通り俯瞰してみて「店頭販促物制作の業界構造は効率化すべき」と思いました。店頭販促物制作の業界構造は広告代理店を頂点に、印刷会社、PXCのような実制作を請け負う企業、そして細かい作業を担当する企業が順番に連なっています。このピラミッド構造をDXを進めることでシンプル化できると確信しました。また、市場の縮小で仕事量が減り、匠の技をもった会社の事業環境は年々悪化するという危機に面していました。そうした思いを原動力にスタートしたのが国内唯一の店頭販促物制作をはじめとしたセールスプロモーション専門サイト「ハンソクエスト」です。WEBマーケティングを駆使し、大量の引き合いを集め、受発注&物流を効率化し、セールスプロモーションの制作・製造業界全体の進化を図ることを目的としています。

新型コロナが5類に移行して以来、WEB以外のリアルの場での販促活動が復活してきており、「ハンソクエスト」を通じて新規取引を増加させることができました。次のステージでは、PXCの50年にわたる店頭販促物制作・製造のノウハウをAIを使ってDXしていきます。この実現により、人手不足や技術の伝承という業界の存亡に関わる課題を解決できると信じています。

DXの本質は、ビジネスモデルの変革にある

DXという言葉がITによる業務効率化にとどまっている企業は多いですが、DXの本質は「ビジネスモデルをITを用いて変革、進化させること」だと思っています。私見ですが、B2B企業の営業、セールスプロモーション分野のDXが特に遅れていると感じます。が、これは、逆の見方をすれば、大きな伸びしろが残っているとも言えます。PXCが自ら経験して得たDXのノウハウを活かし、B2B企業を中心にDXによる進化を求める企業の支援を行っていきたいと思っています。

日本の失われた30年を生じさせた大きな要因の一つは、企業が「DXできなかった、つまりビジネスモデルを時代に合わせて進化させられなかった」ことにあると思っています。変化できない国や企業は衰退し、いずれ消滅すると実感しました。正に「進化論」です。日本の販促を進化させるために、わたし達は“Sales Promotion DX Company”を標榜し、自らのDX経験を業界内外のDXに波及させていきます。この推進役として、この度、わたしより一回り若く、セールスプロモーションとデジタル分野のエキスパートである飯澤氏をCOOに迎えました。わたしも自らの事業承継も見据えつつ、ますます力を尽くしていく所存です。

 

菅野健一(すがのけんいち) 1969年5月16日生まれ神奈川県出身 慶應義塾大学法学部法律学科卒

1993年4月 日商岩井株式会社(現双日株式会社)に入社。審査部に配属。

1996年4月 米国日商岩井審査部(ニューヨーク)に異動。

2000年3月 日商岩井グループ企業向けの与信管理子会社の設立を担当する一方で、社内ベンチャー事業として与信管理ASPサービス事業を企画・立案。

2000年9月 リスクモンスター(株)設立と同時に取締役に就任。

2004年6月 代表取締役社長に就任。

2005年3月 リスクモンスター(株)大証ヘラクレス市場へ上場(現在は東証スタンダードに上場)

2012年4月 代表取締役会長兼CEOに就任。

2018年6月 取締役founderに就任。(2021年6月退任)

2020年7月 (株)学びエイド社外監査役就任。(現任)

2021年7月 PXC(株)代表取締役社長就任。

2022年8月 (株)レント社外取締役就任。(現任)

経済同友会、日本金融学会所属

 

取材・執筆:尾垣未久

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