【シリーズ】PXCを支えるプロフェッショナルたち:目指しているのは、みんなでスクラッチから大企業を創るという“プロジェクト” 

(Interviewer:PXC株式会社 UTSUSU編集長 田村 典子) 

Interviewee:

株式会社喋ラボ 代表取締役 大橋 功 氏  

 

シリーズの記念すべき第1回は、PXCの基幹事業であるAMAIZIN事業グループの提供する記事量産エンジン「AMAIZIN(アメイジン)https://amaizin.biz/」のシステムをプログラミング頂いた 株式会社喋ラボ(しゃべらぼ)https://www.shabelab.com/ 代表取締役 大橋 功 氏。 

― 早速ですが、大橋さんの会社の特徴を教えてください。 

(大橋氏)会社のことを話そうとすると、冗談じゃなくて大河ドラマみたいにとても長い話になってしまうのですけど(笑)。僕が学生の頃にすごく刺激を受けた企業家の方がいたのですが、その人の影響もあって僕がずっと信じていることは、とにかくこの国に必要なものはベンチャー企業で、それは20年前から今も変わっていなくて。でも20年経った今、僕の中で新たに加わった考えがあるんです。それは何かというと、日本に小さなベンチャー企業がいっぱいできても、それだけではやっぱりダメで、つまりこの国には“新しい大企業”が生まれないといけない。 

喋ラボという会社は、会社というよりも僕はひとつのプロジェクトとして捉えていて、今は僕も含めて従業員は5名しかいないんですけど、みんなにいつも話していることがあって、それが何かと云うと、「僕は、僕がオーナーの中小企業を作ろうという考えは一切ありません。喋ラボは、みんなでスクラッチから大企業を創るというプロジェクトです。」っていうことなんです。 

ただ、プロジェクトって何かを梃子(テコ)にしないと、なかなか大きな成功を得るのは難しくて。例えば20年前だったらインターネットという波があって、その波に乗れば、言い方は悪いですけど然程大したものじゃなくてもある程度成功できたんですよね。だけど、とにかくそういった時代の波に乗らないとなかなか上手くいかない。 

― 「潮目」みたいなことですかね。 

(大橋氏)そうですね。実はかれこれ5~6年前からになりますが、現段階でこれから来る“波”で、それに乗ることで大きく成長できるものとして、僕はそれを「ディープラーニング」だと考えています。今だと、多くの人が「ディープラーニング」とAIを一括りに認識されていると思うんですけど、ディープラーニングはAIや機械学習の一分野で、僕はそのディープラーニングが20年前のインターネットだと思っています。そのディープラーニングを活用して“社会を面白くする”。そういう考えを持った会社として、テクノロジーの研究も含めてみんなでやっていこう!というのが喋ラボ(しゃべらぼ)という会社です。 

― なるほど。大河ドラマになるほどのお話を、最大限に凝縮してご説明頂きありがとうございます! 

(大橋氏)本当に実際は大河ドラマくらいのストーリーがあるんですけどね(笑)。 

― 大橋さんは喋ラボという会社の代表であり同時に個人でもあると思うのですが、大橋さんご自身として、仕事をする上で大事にしていることとか、重要視している考え方とかはありますか? 

(大橋氏)そもそも僕は会社と個人の境目は一切ないので、プライベートっていう考え方自体が無いんですよ。「自分に人権はありません」って言っているので(笑)。なので個人としてでは無くて、個人=会社のバリューとして置いていることになりますが、まずは“Talk to user“、ユーザーと話すこと。クライアントとしっかり話をした上で、本質的に役立つものを作ろうということ。2つ目は一緒に働いてくれている人たち”みんながハッピー“になれるようにしようということ。3つ目は”奇跡を起こす“こと。奇跡が起きていなければ、それは仕事とは言えない。 

― その奇跡というのは、当然、努力の結晶の上にあるという前提ですよね? 

(大橋氏)勿論、努力もしないといけないと思っています。当然その通りだとは思うんですけど、でも会社は“アンフェアなアドバンテージ”を創らないといけないと思っていて。そうじゃないと、会社として伸びてはいるけど、ひたすら頑張り続けなければならない会社になっちゃうので。じゃあどうすればう良いのか?って言われると、これからみんなで思いついていかないといけないんですけど。 

優秀な人がすごく頑張って年収1,500~2,000万円稼げます、っていう会社は世の中に多々あると思うんですけど、普通の子育てしているママさんとかが会社と共に成長してくれて、その子育てママさんが日本で最も優秀とされる人の倍ぐらい給料が貰えるとか、極論すると、僕はそういうアンフェアなアドバンテージのある会社を作りたいと思っているんです。 

人の熱量に対して、それが単純比例するような成果や報酬じゃなくて、逆を言ったら熱量という動力が、そのまま掛け算されない成果や報酬が生まれる会社。 

― なるほど。そうじゃないと労働集約型になってしまうということですよね。 

(大橋氏)そう。僕が3つ目のバリューに置いている「奇跡を起こす」という考えは、 普通に考えて、普通にやっていたら得られないような成果とか伸び率っていうのが生まれるような…。 

― 化学反応みたいなイメージですかね? 

(大橋氏)まあ、そういうことですね。ただそれは、そういう風にしていこう!っていう話なので、〇〇をしたらそうなります、っていうことの道が見えているわけではないので。その部分に関しては、僕はもっと頑張らないといけないと思っていますし、みんなで共通して、そういう考え方でやっていこうねって、言っています。 

― 皆が共通して大事にしている「思い」ですね。 

(大橋氏)あと僕が大事にしていることは「愛」です(笑)。 

― 愛、大事です。 

(大橋氏)僕はアメリカに8年間住んでいたのですが、海外で暮らしていると家族がすごく小さくなるんですよ、タイトになるっていうか。普通に日本に住んでいると、周りに良く知る友達とか会社の人とかいっぱいいるわけじゃないですか。でも、外国で僕と妻と娘と3人でアメリカに住むことになって、知り合いは1人もいませんっていう状態になると、頼れるのは家族だけみたいになって、ネットワークのサイズがすごく小さくなるので、めちゃくちゃ家族の絆が強くなるんですよ。そういう意味で、僕は本当に家族の愛に支えられてここまで来たという思いがとても強いです。 

それと、海外に暮らしたことがある人たちの中でよくあるのが、海外から見たときに「日本はダメだ。」って日本をけなしていく人と、もしくは「やっぱり自分は日本人なんだ。」って、日本人である自分のアイデンティティを感じて、何か日本の為に貢献したいって思う人に二極化する。僕は後者だったので、日本を愛していることを自覚して、自分がこの国の為に何かしたいということが個人としての大きなモチベーションになっています。 

― 「アンフェアを起こす奇跡」と「愛のエネルギー」ですね。 

(大橋氏)そう。僕が大事にしたいのは、その2つが偏りなく存在して、そしてその両方がエンジンになっている会社であること。人が頑張るだけの会社になっちゃうのはよくないし、すごい頑張っていて、いつもお客様のために一生懸命やっているけど、でも一方で従業員の人はひたすらハードワークです、みたいなのはやっぱりよくないと思うので。 

― そうですね。ありがとうございました。それでは次にPXCとの関わりについて少しお聞きできますでしょうか。大橋さんには、PXCの基幹事業であるAMAIZIN事業グループのSEOライターノウハウ × AI(ChatGPT)による記事量産エンジン「AMAIZIN(アメイジン)https://amaizin.biz/」のシステムを開発頂きましたが、どのようなきっかけでPXCの「AMAIZIN(アメイジン)」を開発いただくことになったのでしょうか?

(大橋氏)20年くらい前からPXCの創業者の川崎さんに目をかけて頂いていまして。当時、僕はまだ30歳くらいで、川崎さんからしたら自分の子供みたいな存在だったと思うのですけど、ずっと友達みたいに接していただいていて。その縁がずっとあったということと、僕自身、どこかで川崎さんと仕事がしたいなとずっと思っていて。そんな中で、2022年かな?PXCから記事量産エンジンの開発について相談があった時に、「ようやくそういう機会が来たのかな。」というふうに思ったことが、開発をお引き受けすることになった一番のきっかけですね。 

― そうだったのですね。 

(大橋氏)実際、具体的に「AMAIZIN(アメイジン)」をつくろうという話になったのは、当時まだPXCの顧問としての関わりだった現・飯澤COOから、AMAIZIN構想の話をいただきまして。正直、AMAIZINのようにSEOの記事をAIによって量産するということは別に僕だけが思っていたことではなくて、そういう仕組みがどんどん出てくるだろうということは予想していたとは思うんですけど、もともと僕自身の会社のサービスを安価にSEO対策するために、実はそのとき既に僕もそういう仕組みを、実験的に検証していたりしていたこともありまして。そんな時にAMAIZIN開発のお話をいただいて、創業者の川崎さんとのご縁もありましたし、何か僕で貢献できればと思った次第です。 

― ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。 

― それでは、今現在、積極的に取り組まれていることがあれば教えてください。 

(大橋氏)今は喋ラボというAIのスタートアップをやっていまして、議事録の自動作成とナレッジベースの自動構築を行う「いきなり議事録」というサービスを開発しています。AI技術、ディープラーニングに関しては米国に住んでいた時に学んだものなのですが、御社のAMAIZINの開発プロジェクトでは、微力ながらそのAI技術の知見をもとにお手伝いをさせていただいています。 

喋ラボ いきなり議事録 https://editor.shabelab.com/ 

 

― 最後に、大橋代表の今後の中長期的なビジョンをお聞かせいただけますでしょうか。 

(大橋氏)そうですねー、日本でベンチャー企業として大きく成功して、可能であればアメリカのNASDAQとかに株式を上場したいですね。というのも、日本ってあんまりプログラムを自分で書くタイプの社長っていないんですよ。最近は少し出てきていますけど、シリコンバレーと比較すると圧倒的に少ないです。なので、会社を大きく成功させて、自らプログラムを書くファウンダーのロールモデルになれたらいいなと。 

― なるほど、大橋さんなら成れそうですよね。 

(大橋氏)いやいや。僕が思うに、何かこうちょっと面白いものを作ろうと思うと“クラフトマンシップ”が必要と云うか。例えばこれをこう埋めて、こう引いて、こうやって組み立ててみて、そのうち、これがこういう風に開けばいいのにな…とか。だいぶ抽象的な表現だけど、つまりそうやって自分自身で手を動かしているうちに、何かしらのヒントが出てきて、そうやって新しいものって生まれると思うんですよ。そして、基本シリコンバレーって、そういう文化なんですよね。そういうことが日本でもより起きるようになれば良いなと。 

― 試行錯誤の中からこそ新しいものが生まれるということですね。日本は諸外国と比較して、試行錯誤よりもマニュアル的文化がまだ強いのでしょうか? 

(大橋氏)ええと、アメリカ以外はみんな同じだと思いますが、一言で言うと日本は現状すでに“パクリ元がある”ということです。アメリカで成功した新しいビジネスを、日本の文化に合うように日本向けにカスタマイズしても、一応そのビジネスは「いける」って証明がそもそもあるので、それを良いものにしますっていう作戦が成り立つんですけど、アメリカって全てにおいて最先端だから、当然パクリ元がないので、逃げ場がないんですよ。 

― なるほど。 

(大橋氏)だけど、アメリカでスタートアップをやるってそういうことで。大概の人は、やる前から何か思いつく訳なんか無いんだから。やってるうちに「何か」を思いつくんですよ。 

それを思いつく人が10人に1人とか、100人に1人とかいて、それが新しいものに繋がるので。 

― だからこそ、新しく生まれるものは、いつも皆の想定外のものになると。 

(大橋氏)自分で手を動かさないと、物でもなんでも自分で組み立てたりとかしないと、そういう思いつきは、なかなか出てこない。なので、僕は自らプログラムを書くファウンダーのロールモデルになれたら良いなと思っています。

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