【インタビュー】お客様のために何かできることはないか…という思いから生まれた製品が社会問題の解決にも寄与‼コミケ104 出展ブースを取材。

(取材・執筆:PXC株式会社 UTSUSU編集長 田村 典子)

 

Interviewee:

株式会社ワカヤマ ものつくり戦略室 田中 康隆氏 

Interview Location:

コミックマーケット104 (2024年8月11~12日・東京ビッグサイト)

 

1986年に福井県鯖江市で創業し、これまで数多くの様々な表面処理加工を手掛けてきた株式会社ワカヤマ様 https://www.wakayamapp.jp/

表面処理加工と云うと、生活者にはあまり馴染みは無いものの、あの世界に誇る“メイドインサバエ”メガネの表面処理加工も実はワカヤマ様の仕事。そんな表面処理加工のプロフェッショナル企業 ワカヤマ様が、クライアントを助けたいという思いで、長年培ってきた高い技術力によって生み出した抗菌・抗ウイルスコーティング剤「VIRMETS NR4+(ウィルメッツ)」https://virmets.com/

今回は、この「VIRMETS NR4+(ウィルメッツ)」の認知拡大を目的として、世界最大規模の同人誌即売会イベントであるコミックマーケット https://www.comiket.co.jp/ 通称“コミケ”でワカヤマ様が実施した大変ユニークなプロモーション施策について、実際にコミケ104の出展ブースにお邪魔をしてお話をお聞きしてきました。

― この「VIRMETS NR4+(ウィルメッツ)」を、コミケでプロモーションしようというユニークな施策はいつ頃から考えていらっしゃったのでしょうか?

(田中氏)出展が確定したのは6月末とかだと思います。

― 結構最近ですね。

(田中氏)はい。この「VIRMETS NR4+(ウィルメッツ)」は、私たちの表面処理加工技術を基盤に開発した抗菌・抗ウイルスコーティング製品で、そういった製品が必要とされていた、まさにコロナ下の終盤ぐらいにローンチしたんです。

私たちは、塗装・メッキといった様々な物体や製品の表面加工処理を主幹事業としている会社なんですけど、創業以来、長く扱っている代表的な製品はメガネなんですね。具体的にいうとメガネの塗装とかメッキとかです。メガネは小売店がそれこそいっぱいあって、コロナが流行っているときに、小売店さんから「お客さん呼びたいけど、コロナで安心して呼べない、なんとかできない?」と、私たちの会社に相談があったんです。そこで、私たちの技術で何かできないかな、という話になって生まれたのが抗菌・抗ウイルスコーティング製品の「VIRMETS NR4+(ウィルメッツ)」なんです。

― なるほど。所謂コロナ対策として、まずはこの商品が生まれたということですね。

(田中氏)はい。

― しかもお客さんを助けたいという思いがあって。

(田中氏)私たちの仕事は、お客さんから相談が来て、そこから…ということが大半なんです。今メイン事業になっている塗装とかメッキ加工とかも、そういう仕事の受け方が多かったんですけど、今回も相談ベースで始まったというのがルーツというか始まりだったんです。

それで、その抗菌・抗ウイルスコーティング製品を開発していく過程で、抗菌を掘り下げていたところ、汗の匂いの原因が“菌”だということに目を付けました。汗の匂いの原因菌にマイクロコッカスとかモラクセラ菌というのがあって、モラクセラ菌の方が洗濯物の生乾き臭いとかで世の中的には知られているんですけど。あと、カビとかも匂いの原因だという視点もあって、それでいうと、この抗菌・抗ウイルスコーティング製品なら、消臭対策にも貢献出来るのではないかと考えたわけです。

― なるほど。

(田中氏)それで、このコミケでは毎年匂いが問題になっているという記事を見て、これは、我々の製品が一役買えるんじゃないか?と思いまして、コミックマーケットの運営の方に、協賛というかたちで関われないかお話ししたのがはじまりです。ただ、協賛という形では受け付けてなかったので、結果、我々のやりたいことをやってみようということで、今回は出展社として参加することになりました。

― ちなみに、コミックマーケットの臭い問題の記事にたどり着いたのは、どういった経緯だったんでしょうか?

(田中氏)我々の会社は福井県鯖江市が本社ですが、東京に営業があって、その営業所が秋葉原にあるんですよ。なので、自然とこういった情報っていうのはやっぱり入ってくるわけです。私自身は秋葉原の営業所にいるわけではないんですけど。

― なるほど。製品開発中に消臭効果もいけそうだなってなって、その消臭のニーズが高いところってどんなところがあるだろう?ってなったときに、いわゆるオタク系みたいな、人の出す熱量の高い分野にはどうも需要が有りそうだと、そういう考えに至った訳ですね。

(田中氏)はい、そうですね。あと、我々の会社の社員に、そういったいわゆるオタク系のコンテンツは好きなメンバーが多いんですよ。これなら、さらにこの施策に繋がりやすいと思いました。正直、私はよく分からないんですけど、今、我々の出展ブースにいるメンバーは、アニメとかそういうのが好きな人が凄く多いです。

― なるほど。じゃあ御社の社内に、コミケに精通している“有識者”が多くいらっしゃったということですね。

(田中氏)そうですね、そういう云い方が一番合っていますね。我々の社内のいわゆるオタク系・アニメ等の“有識者”が、この企画に確実にピンときた!っていうことですね。

― この企画はいける!と。

(田中氏)はい。私はいつもそういった会話にはなかなか入れなかったりするんですけど、やっぱり彼らは、このコミケで毎回臭い問題っていうのが記事になっている、ニュースになっているっていうのを知っていて。それなら我々の消臭スプレーで貢献しよう!ということで、このコミケでのプロモーションをやらせて貰うことになりました。

― 今回のコミケ出展ブースの仕掛けと、全体のプロモーション施策について教えて頂けますでしょうか。

(田中氏)まずブースの説明からさせてもらうと、ブースの正面にゲートを設置しています。

このゲートを人がくぐると、ゲートの内側から我々の製品であるVIRMETS NR4+(ウィルメッツ)が、シューっと噴霧されるようになっています。ゲートをくぐった人が、このウィルメッツを身体に噴霧されることによって、先ずは臭いの原因菌が除去されるという状態になります。そうすることで、次に臭いを気にすることなく、心置きなく憧れのコスプレイヤーさんと近い距離で写真が撮れる!というような仕立てになっています。

― なるほど。コミケに来場された皆さんは、憧れのコスプレイヤーさんと一緒に写真が撮りたい!と思いが強いということもあって、積極的にこのブースの企画に参加しているわけですね。

(田中氏)そうです。コミケに来場される方々の求めることや、好奇心を刺激するという視点で企画をしました。

 

― 先ほど仰っていた御社の社内の有識者の方々が、「こんな風にしたらきっとウケるよ」っていうことで、この企画はすべて社内でプランニングしたのでしょうか?

(田中氏)社内の意見もありますし、エースプロさんという企画制作の会社さんにも協力してもらっています。

今回のブースの仕掛けは、ゲートをくぐって消臭したあと憧れのコスプレイヤーさんと写真を撮れるというだけではなくて、ブース外でもコスプレイヤーさんが持っているハンドガンを模したスプレーガンで、VIRMETS NR4+(ウィルメッツ)を噴霧して消臭しちゃう、という演出も行っています。

― 面白いですね。勿論全ての仕掛けが、このVIRMETS NR4+(ウィルメッツ)の認知拡大を図るためのプロモーションの一環だと思うんですけれども、プロモーションの立て付けとして、例えば、ブースに来てくれた方に、実際の製品が入ったサンプルみたいなものを配ったりとかもされていますか?

(田中氏)そうですね、Xで条件付きの発信をお願いしています。VIRMETS NR4+(ウィルメッツ)の公式アカウントをフォローして、#消臭済み、というハッシュタグを付けて投稿をして貰っています。

― なるほど、じゃあXで情報拡散するんですね。

(田中氏)はい。Xで情報拡散して頂けたら、憧れのコスプレイヤーさんとか、弊社がこの企画のために作ったオリジナルキャラクターとか、V-Tuberさんのラベルが貼られたカードタイプのVIRMETS NR4+(ウィルメッツ)消臭スプレーをお配りしています。

ゲートを通って消臭してコスプレイヤーさんと写真が撮れて、さらにXで投稿してノベルティが貰えるってことで。

それと、コスプレイヤーさんたちは基本、皆さんインフルエンサーの方々なので、コスプレイヤーさんの投稿によっても情報拡散を増やしています。なかにはフォロワーが10万人以上のコスプレイヤーさんもいます。これら多くの情報拡散によって、先ずはコミケでの消臭を今後みんなでやっていこう!というストーリーに仕上げています。

― なるほど。ちなみにオリジナルラベルのサンプルは今回の企画限定になりますか?

(田中氏)はい、今回のみの限定です。

― 今後、こういったアニメなどのIPとコラボしたかたち商品展開していくような構想とかはあるんでしょうか?

(田中氏)我々の製品のVIRMETS NR4+(ウィルメッツ)はOEM対応も可能です。ご依頼いただければ、液材の充填は勿論、ラベル貼りやパッケージングまでお引き受けしています。

― なるほど、今回の施策は、一般の人に知って貰って買って貰うということだけでなく、BtoBビジネスとして、オリジナル製品の制作も視野に入れたプロモーション施策ということですね。

 

(田中氏)そうですね。今はAmazonで一般生活者向けに販売をさせてもらっているんですけど、それ以外に、BtoB向けで展示会に出展したり、企業様と商談させてもらったりしています。

― ちなみに昨日のコミケ初日に集英社オンラインさんが取材にいらっしゃったとお聞きしましたが、

集英社さんはどういった前提で取材に来られたのでしょうか?

(田中氏)集英社さんは、コミケ関連や我々製品の取材というよりも、臭いに関する社会問題の視点で我々の製品と我々の取り組みのユニークさを取り上げたかった、というのが今回の一番の取材目的でしたね。我々の今回の企画に参加された方々に、臭い問題に対してどう思うか?や、我々の企画を体験してどう思われたか?というところと、これまで何度も取り上げられてきている臭い問題に対してどう思うか? といった内容をヒヤリングされていました。*集英社オンライン https://shueisha.online/articles/-/251296?page=2

― 今回のコミケでのプロモーション施策で、VIRMETS NR4+(ウィルメッツ)の公式SNSには多くのフォロワーが付きましたが、今後そのフォロワーの人たちが、継続的に御社の製品や取り組み情報の受け手になるということで、まさに施策が生み出した大きな財産ですね。

今回は貴重なお話をお聞かせいただき本当にありがとうございました。

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