“日本のお家芸” キャラクタービジネスとキャラクターマーケティング

2023年度のキャラクタービジネス市場は前年度比101.4%。2兆6,508億円。ヒットが確実視されるアニメ・キャラクターが牽引し、市場規模は増加傾向。

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日本文化において世界的な強みとも言える「キャラクター」。このキャラクタービジネスは基本的には“子供”あるいは“若者”をターゲット(もしくは孫をもつ高齢者)とすることが多いなか、昨今、“少子化”が社会問題として叫ばれている日本において、その市場規模自体は依然落ちていません。企業がビジネスにおいてキャラクターを巧く活用していくことは、課題の多い日本のマーケットのみならず世界のマーケットで戦う上でも検討すべき手段といえるのではないでしょうか。

キャラクタービジネス市場規模は微増を繰り返している

市場規模の推移を見るに、日本におけるキャラクタービジネスは、この先も2兆円を下回らない可能性が高いと予測されています。一方で、来年には『2025年問題』(=超高齢化社会。75歳以上の人口が2179万人となり、日本人のおおよそ5人に1人が75歳以上)が待ち受けており、これに加え今後も少子化に歯止めはかからないことを想定するなら、本来的にはキャラクタービジネスの市場規模が大幅減する可能性もあるといえます。しかしながら、そのような中、2024年現在においても日本におけるキャラクタービジネスが好調であることの理由として挙げられるのは、キャラクターを支持する年齢層がそもそも子供や若年層を中心としていないということが明らかであるといえるのではないでしょうか。

キャラクターマーケティングの狙いとメリット

キャラクターとはそもそも、消費者に特定のイメージを与える目的で作られたもののことを言います。つまりキャラクターマーケティングとは、企業がキャラクターを用いて、販促活動やプロモーションなどを積極的に行い、知名度や売上アップ、ブランド構築を行うことを目的としたマーケティング手法です。企業がこのキャラクターマーケティングを行うことで、様々なメリットが齎されることが期待される一方で、一口にキャラクターマーケティングといっても、マーケティングの対象が何なのか?によってその効果は異なるということも、予めよくよく理解する必要があるといえるでしょう。

ブランドや製品のキャラクターが担う役割

ブランド認知の向上

キャラクターは、製品や企業を識別しやすくし、視覚的な印象を与えます。消費者はキャラクターを通じて製品やブランドを覚えやすくなります。

感情の共感と親近感の構築

キャラクターは感情を引き起こす要素として使用され顧客との親近感や共感を構築します。これによりブランドへの忠誠心や好意を生み出すことが可能です。

広告やプロモーションの強化

キャラクターは広告やプロモーションキャンペーンに活用され、メッセージの強調や製品の特長を伝える手段として役立ちます。

コミュニケーションの促進

キャラクターは顧客とのコミュニケーションを促進するために使用されソーシャルメディアやイベントなどでファンとの対話を可能にします。

ブランドストーリーテリングの支援

キャラクターはブランドのストーリーに深みを加え、製品や企業の背後にある価値観やメッセージを伝える手段として活用されます。

競争力の強化

ユニークで魅力的なキャラクターは、同様の製品やサービスとの競争において差別化を図り、顧客の心に残りやすくします。

子供向け製品での影響

子供向けの製品やサービスではキャラクターは特に重要で、子供たちに製品を覚えてもらったり、親に購買を促進したりする役割があります。

キャラクターIPの起用とオリジナルキャラクターの開発

キャラクターマーケティングの具体的手法として、既に知名度を有した人気のアニメや様々なコンテンツのキャラクターIPを起用する方法と、自社でオリジナルのキャラクターを一から開発する方法があります。前者では、そのIPの影響力の強さによって、版権元へ多額の利用料支払いが発生するとことはもとより、あくまで起用する企業側の自由度は至極限られた範囲となります。また後者では、自社の保有するキャラクターとして限りなく自由度は高くなるものの、キャラクターの開発コストのみならず、開発したキャラクターがターゲットに対して期待するレベルの知名度を有し、活用のメリットを生むまでの間、しっかりとしたキャラクター育成と、それらの宣伝・広告活動が必要不可欠となります。いずれの手法も、それぞれのメリット・デメリットがあるため、キャラクターマーケティングを実施する上で、事前にその目的と期待する効果をきちんと整理・検討することが重要といえるでしょう。

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