【SPECIAL TALK】XRソリューションとリアルプロモーションの融合で期待される、新しい顧客体験と販促効果
PXCプロモーション事業

(左)DTC株式会社 代表取締役CEO 藤田 知直
XR技術を活用したデジタルサイネージなど、コンテンツ企画から運用・管理まで、全てをワンストップで提供するデジタルソリューションカンパニーを経営。 自身もウェブ・3DCG・映像制作などを手掛けるデジタルクリエイターとして活躍。
(右)PXC株式会社 執行役員 兼 ハンソクエスト事業グループ グループ長 小松 謙一
2023年にPXC株式会社執行役員に就任し、販促業界プラットフォーム「ハンソクエスト」をサービスイン。AIを活用した販促物の受発注管理を推進するなど、業界内のDX推進に向けて奔走中。
2025年にPXC株式会社は、XR事業の強化を目的としてDTC株式会社への出資を決定しました。XRソリューション事業のリーディングカンパニーであるDTC株式会社と、PXCが得意とするリアルプロモーションとの融合により広がる「最先端の顧客体験」とは?
モデレーター:UTSUSU 編集長 田村典子
なぜ今「XR×リアルプロモーション」なのか
― XR技術とリアルプロモーション、それぞれの直近の歩みを教えてください。
藤田氏 XR(クロスリアリティ)は現実世界と仮想世界を融合させる技術の総称で、実はVR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)といった幅広いジャンルがあります。そのなかでも、当社はここ3年ほどゴーグルなどのデバイスなしで3D(立体)が見られる「裸眼3D」に特化してきました。これはクロス新宿ビジョンの「新宿東口の猫」で話題になった技術です。デバイスレスで一度に多くの人に情報を伝えられる特徴を活かして、これまで広告やエンタメ分野で活用が進んでいました。
小松 販促業界では、もともと2,000億ほどあった市場が、新型コロナウィルスの影響で1,500億ほどまで縮小。外出自粛で生活者がリアルで買い物に行く機会が減り、BtoBのイベントや展示会も3割ほど減少していました。それがコロナ収束とともに直近3年間で急速に復調しました。デジタルでの購買機会が増えた世の中でも、やはり「リアルで体験する」ということは、人間にとって喜びや楽しみにつながるのだと実感しています。
― XR×リアルプロモーションで、どのような“体験価値”を思い描いていますか?
小松 リアル販促が復調したとはいえ、近年は映像などのデジタル技術を使用した従来とは異なるプロモーションも増えてきました。50年以上のリアルプロモーションのノウハウを持つ当社と、XR技術に強みを持つDTC株式会社とがタッグを組むことで、販促現場にさらなる価値提供ができると確信しています。例えば、ショッピングモールの中で新車を3Dで投影して、ちょっとした内覧会を行う施策などです。今、一緒にさまざまな可能性を模索しています。

XRが変える「リアルな販促現場」
― 販促でのXR導入事例はありますか?
藤田氏 販促での導入事例としては、新千歳空港ショップ内の「空飛ぶクッキー」があります。売り場の什器の上に4面LEDを設置して、クッキーのXR映像を目の前で見ることができる演出です。さまざまな業界から、導入したいという声をいただいています。

※株式会社壺屋総本店 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000083951.html
― 今後、販促ではXR技術をどのように活用できると考えていますか?
藤田氏 今後XR技術は、さまざまな分野で商機があると考えています。例えばマンションのモデルルームは、わざわざ駅の近くなどに建設しなくても、駅ビルやショッピングモールの一角にデジタルで再現できるので、従来の展示と比べてお客様との接点を増やせます。それに加えて、XRなら空間内に家具を配置したり、時間帯による日当たりをシミュレーションしたりと、バーチャル空間で”実体験”する機会を提供できるのも強みです。体験することで、生活者も「興味」から「検討」のフェーズに移行しやすくなるのではないでしょうか。
小松 この活用例は、販促でいう「サンプリング」という手法と重なると考えています。これまでは日用雑貨を中心にサンプル品を配布する施策が行われてきましたが、XR技術を活用すればサンプリングが難しかった高価な商材にも応用できるようになります。BtoC・BtoBに関わらず、あらゆる分野でのXR技術の活用が考えられますね。
藤田氏 映像×音×匂いを連動させる「マルチモーダル五感XR」も開発中です。その場の没入体験を楽しむのはもちろん、そこから生活者の記憶を呼び起こしたり、味を連想させたりすることで購買につなげていけるのではないでしょうか。
これからの顧客体験と販促の可能性
ー 販促において、XR技術はより身近な選択肢になってゆくのでしょうか?
藤田氏 オーダーメイドで高価なイメージのあるXR技術ですが、今後はXR技術を使った販促のパッケージ化にも取り組んでいきたいと考えています。例えばショッピングモールの一角に設置できるようなイメージで、できるだけ手頃な価格で利用できる床と壁2面の最小単位のボックスも開発中です。お客様の予算に合わせたご提案ができるように、選択肢を増やしていきます。
― 最後に、XR×リアルプロモーションで実現したいことを教えてください。
小松 PXCでは従来より店頭プロモーションや販促物の制作に取り組んできましたが、コロナ禍を経て、改めて「リアルで体験しながら買うことの楽しさ」の重要性を感じています。今後、我々のリアルプロモーションのノウハウと、DTC株式会社のXR技術を組み合わせた独自の販促手法を世の中に広めていきたいです。
藤田氏 我々は、新しいものを創り出すことで、記憶に残る体験価値を生活者に提供してきました。今後は、PXCと連携してリアルプロモーションの現場を技術で支えていきたいです。

(執筆:山田裕佳、編集:大森ろまん)
PXC株式会社 プレスリリース
セールスプロモーションDX会社のPXC、DTC株式会社への出資により、XR事業を強化し、店頭プロモーション・展示会・イベントのイノベーションを推進
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000204.000042827.html
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